
11店舗を経営して、私が知ったこと。 代表ブログ Vol.01|林 泰弘 11店舗を経営して、私が知ったこと。 〜店を始める喜びも、手放す痛みも知っているから〜
はじめまして。Forest Estate株式会社の代表を務めております、林 泰弘(はやし やすひろ)と申します。
このたび、弊社のホームページでブログを始めることにしました。せっかく始めるのであれば、単なる会社のお知らせや不動産物件の紹介ではなく、
私自身がこれまで経験してきたこと、仕事を通じて感じてきたこと、そしてこれから実現したいことを、
自分の言葉で綴っていきたいと思っています。
最初のテーマは、自己紹介です。
といっても、経歴を順番に並べるだけでは面白くありません。私がどんな経験をしてきて、なぜ今、不動産会社を経営しているのか。その背景にある考え方を、少しずつお伝えできればと思います。お時間のあるときに、気軽にお付き合いいただければ幸いです。
私の原点は、飲食店の現場にあります。私は1978年、宮城県塩竈市で生まれました。その後、仙台を中心に飲食店の企画、開発、経営に携わり、東京への進出も経験してきました。これまでに自ら経営した飲食店は、全部で11店舗になります。
11店舗。こうして数字にすると、それなりの経験を積んできたように聞こえるかもしれません。
しかし、実際には決して順風満帆な道のりではありませんでした。飲食店という仕事には、不思議な魅力があります。
何もなかった場所にお店ができる。厨房に設備が入り、客席にテーブルが並び、照明がつく。そこに料理が生まれ、スタッフが集まり、やがてお客様が訪れる。昨日まで何もなかった空間が、誰かにとっての大切な場所になる。この過程には、何度経験しても特別なものがあります。
そして、初めてお客様をお迎えする日。期待と緊張が入り混じるあの感覚は、飲食店を経験した方であれば、きっと分かっていただけるのではないでしょうか。私は、そんな店づくりという仕事が好きでした。今でも、その気持ちは変わっていません。
【店をつくることと、店を続けることは違う。】
一方で、飲食店を経営するということは、決して華やかなことばかりではありません。
お客様が来てくださる日もあれば、思うように売上が伸びない日もあります。人材の採用、教育、仕入れ、原価管理、家賃、人件費。考えなければならないことは山ほどあります。そして経営者には、そのすべてに最終的な責任があります。私は11店舗を経営する中で、さまざまな決断を経験してきました。一店舗を成功させることと、複数店舗を経営することも、また違う難しさがあります。一店舗でうまくいった方法が、二店舗目でも通用するとは限りません。立地が変われば、お客様も変わる。スタッフが変われば、お店の雰囲気も変わる。同じブランドであっても、同じ経営ができるとは限らないのです。店舗数が増えることは、経営者としての喜びであると同時に、責任が増えることでもあります。何より、店舗の数だけ、そこに関わる人の人生があります。スタッフがいて、お客様がいて、取引先がいる。飲食店の経営とは、売上や利益だけで語れるものではないと、私は思っています。だからこそ、今でも飲食店を経営されている方々に対して、心から敬意を持っています。
【一つのお店を続けていく。】言葉にすれば簡単ですが、それを何年も積み重ねることが、どれほど大変なことなのか。私は、その難しさを自分自身の経験から知っています。「店を手放す」という決断。飲食店の仕事を続けていると、必ずしも前向きな出店の話ばかりではありません。移転することもあれば、事業を整理することもある。そして、ときには店を手放すという決断もあります。私自身、そうした経験を重ねてきました。経営者にとって、お店は単なる事業資産ではありません。
時間をかけて考えたコンセプト。何度も試作を重ねた料理。一緒に働いてくれたスタッフ。通い続けてくださったお客様。そこには、数字には表れない価値が積み重なっています。しかし、事業を続けることだけが、必ずしも正解とは限りません。経営環境が変わることもあります。新しい挑戦のために、これまでの事業を整理しなければならないこともあります。
それでも、頭で理解することと、気持ちが納得することは別です。長く向き合ってきたお店ほど、その決断は簡単なものではありません。私は、店を始める人の期待も、店を続ける人の苦労も、そして店を手放す人の痛みも、自分自身の経験として知っています。今振り返ると、この経験こそが、現在の仕事の原点になっているように思います。飲食店は、不動産であり、人の営みでもある。
少し視点を変えてみます。飲食店を経営するうえで、絶対に避けて通れないものがあります。それが、不動産です。
どんなに素晴らしい料理をつくることができても、どんなに優秀なスタッフがそろっていても、営業する場所がなければお店は始まりません。立地、賃料、面積、設備、契約条件。こうした要素は、開業後の経営を大きく左右します。
例えば、想定した売上に対して家賃が高すぎれば、経営は苦しくなります。厨房設備が業態に合っていなければ、開業前に想定外の工事費用が必要になるかもしれません。そして、賃貸借契約の内容によっては、退店する際にも大きな負担が生じることがあります。つまり、飲食店にとって物件選びとは、単に場所を決める作業ではないのです。その後の事業の可能性を決める、極めて重要な経営判断なのです。私は飲食店を経営していた頃から、こうした不動産と経営の関係を強く意識するようになりました。ただ、当時の私が現在のように不動産会社を立ち上げることになるとは、想像していませんでした。
人生というものは、不思議なものです。経験したことが、そのときは単なる苦労にしか思えなくても、何年もたってから別の仕事につながることがあります。成功した経験だけではありません。うまくいかなかった経験も、遠回りした経験も、後になって自分の財産になる。少なくとも、私はそう感じています。あの経験があったから、今の私がいる。
現在、私は東京都港区でForest Estate株式会社という不動産会社を経営しています。
そして、その会社の中で、飲食店に関わるさまざまな課題を支援する「FOREST FOOD WORKS」という事業を立ち上げました。なぜ飲食店を経営していた人間が、不動産会社を立ち上げたのか。なぜ単なる店舗仲介ではなく、飲食店の出店から退店、事業承継まで支援しようと考えたのか。
その理由を一言で説明するのは、なかなか難しいものがあります。ただ、一つだけはっきりしていることがあります。私は、飲食店の現場を知っている人間でありたい。そして、その経験を、これからお店を始める人や、今まさに経営に悩んでいる人のために生かしたい。そう考えているということです。
これまでの仕事の中で、私自身も多くの方々に助けられてきました。だからこそ、今度は自分が誰かの力になれる存在でありたいと思っています。飲食店の経営には、必ず人の想いがあります。
新しく挑戦する人にも、長年続けてきた事業を誰かに託す人にも、それぞれに事情があり、それぞれの物語があります。その一つひとつに、丁寧に向き合っていきたい。これが、今の私の基本的な考え方です。
少し長くなりましたが、今回はここまでにしたいと思います。次回は、飲食店経営から店舗開発、商業施設、そして海外での仕事を通じて、私がなぜ不動産という世界に強く関心を持つようになったのか。その転機について、お話ししたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Forest Estate株式会社代表取締役/FOREST FOOD WORKS 主幹
